パヤシの自由帳

気付いたことをメモメモ。たまに勉強したことも書きます。

数学者のライフスタイル (日曜数学 Advent Calendar 2018)

日曜数学アドベントカレンダーのリンクから来られた方々、 

こんにちはパヤシと申します。

adventar.org

先日14日目は龍孫江様の「可換環の次元・深度とビッグマック予想」でした。

blog.livedoor.jp

 

今回私は『数学者のライフスタイル』というタイトルで投稿させていただきます。

1. はじめに

このアドベントカレンダーのタイトルにもあります「日曜数学」。これの意味については提唱者でありますTsujimotterさんの記事を引用させていただきます。

tsujimotter.hatenablog.com

 

日曜数学とは「興味の赴くままに趣味として数学を探求すること」である

「日曜数学者」はこうした行為を日常的に行っている人を意味する

要は「数学を趣味でやっている人」な訳ですが、ではこの「趣味」とはどういう意味でしょうか?辞書(デジタル大辞泉)には

仕事・職業としてでなく、個人が楽しみとしてしている事柄。「趣味は読書です」「趣味と実益を兼ねる」「多趣味」

 とあります。すなわち職業:数学者ではないものはすべからく日曜数学者となりうるわけです。今回は過去の偉大なる日曜数学者について取り上げたいと思います。

 

2. 日曜数学者について

実は私自身は職業:数学者より日曜数学者の方が圧倒的に多いのではないか?と考えております。職業としての数学者としてぱっと思いつくのは

・アカデミックのスタッフ(教師・講師含む)

アクチュアリーファイナンシャルプランナー

プログラマー・エンジニア

といったところです。他の理系分野でも言える事ですが、分野の中でもお金を稼げる領域はごく一部に限られています。基礎的な純粋数学でお金を稼げる人はアカデミックの一部だけかもしれません。

そういった環境の中、日曜数学者という存在は数学という分野を下支えしている要素ではないでしょうか。数学は他の理系分野と異なり紙と鉛筆(+PC)で始められる余地があり、趣味として研究する者にとって居心地の良い世界であると感じます。

現に偉大な数学者として歴史に名を刻まれている方々で、数学以外で生計を立てていた者が数多くいらっしゃいます。今回はその中から

・ジェロラモ・カルダーノ

ヨハネス・ケプラー

・ウィリアム・ローワン・ハミルトン

を紹介したいと思います。

3. ジェロラモ・カルダー

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ジェロラモ・カルダーノ (Gerolamo Cardano) 写真はwikipediaから引用

ジェロラモ・カルダーノは16世紀のイタリアの人物で、代数学で業績を挙げており、著書『偉大なる術(Ars magna de Rebus Algebraicis) 』にて3次方程式で世界で初めて虚数の概念を取り入れた事が有名です。(下が『偉大なる術』タイトル)

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これだけですと何かこうスマートな感じがするのですがこの方、当時のイタリアで最大の医術者、最大の自然哲学者、最大の錬金術師、最大の占星術師、最大の手相術師、最大の魔術師、そして最大の賭博師と呼ばれたそうで、今の感覚ではかなり胡散臭い印象を与えてくれる方です。

ルネサンス期の大学の博士という事でファウスト博士を想像するのですが、カルダノ自身アヴェロエス派ポンポナッティの魔術継承者という事で負けていません。16世紀における「自然科学」は「自然魔術」であり錬金術占星術から生まれた時代です。

このカルダノ以後ヨーロッパの近代数学が始まったとされています。当時の数学は一種の<術>でありその技を蓄える事が力の象徴に繋がり、しばしば公開試合が行われ多額の賞金がかけられていたそうです。これ以降近代への出発、<術>から<学>への転換が進んでいったそうです。

ちなみにこの公開試合のネタが上記の3次方程式でここでもドタバタ劇があったのですが、ここは森毅作『異説 数学者列伝 』の「魔術競数理方程(うでくらべかずのあやとり)」を読んでみてください。

            https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51cMRb-ZwXL._SX356_BO1,204,203,200_.jpg

 

ちなみに本人は自分自身の事を賭博師と思っていたみたいで著書『さいころあそびについて(Liber de ludo aleae)』でイカサマ方法を紹介しており、そこでは確率論について触れております。「ギャンブラーにとっては、全くギャンブルをしないことが最大の利益となる。」という名言を残しているそうです。

4. ヨハネス・ケプラー

 

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  ヨハネス・ケプラー(Johannes Kepler) 写真はデジタル大辞泉から引用

 ヨハネス・ケプラーは16~17世紀のドイツの人物で、天体の運行法則「ケプラーの法則」を唱えた事で有名です。ケプラーの法則は代表作であります『新天文学』(1609年)第1,2法則が収められておりますが、この時のケプラーの肩書は「ルドルフ2世宮廷付占星術師」でした。

南ドイツに生まれたケプラーは、祖父は市長を務めるほどの人物であった一方父親は財産を蕩尽する輩だったみたいで一生貧乏から逃れられなかったそうです。

マウルブリン修道院→チュービンゲン大学神学部という当時神学の書生として典型的な道を進んでおり、ケプラー自身は牧師になりたかったそうです。ただ教養課程でミヒャエル・メストリン(1550-1631, ドイツの天文学者)と出会った事でその後の運命が変わる事となりました。

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ミヒャエル・メストリン(Michael Maestlin) 絵はwikipediaから引用

 メストリンから教授されたコペルニクス派(地動説)の宇宙体系を学び傾倒していったケプラー神学者(プロテスタント)の反感受けた結果、希望する牧師を提示されずオーストリアグラーツの高校で数学と天文学の教師として働く事を求められました。

この語の教師時代に書き上げたのが『宇宙の神秘』(1596)でケプラーの多面体太陽系モデルはこの時お披露目となりました。

      


      ケプラーの多面体太陽系モデルと太陽近傍モデルの拡大図

ケプラーは著書をティコとガリレイに贈っておりティコはかなり興味を示したそうです(一方ガリレイは…推して知るべし)。

この後グラーツの町はイエスズ会の支配下に入り、新教徒であるケプラーは迫害の対象となってしまい出ていくことを余儀なくされますが、この時手を差し伸べてくれたのがこのティコであります。

                                               Tycho Brahe.JPG

                       ティコ・ブラーエ (Tycho Brahe) 写真はwikipediaより引用

ケプラーは帝都プラハに移り住み、当時占星術師と錬金術師に傾倒していたルドルフ二世の元「帝室天文学者」として務める事となります。

間もなくティコは亡くなるのですが、このティコが16年という長きにわたり観測してきたデータ解析をケプラーに委託しました。このデータを基に理論家たるケプラーの手により整理・分析されたことがケプラーの法則発見へとつながりました。これにより地動説が強化される大きな転機を迎えたのです。(ティコ自身は地動説たる証拠を提示できなかった)

代表作であります『新天文学』では楕円の解析が登場し、それを通じて<無限小解析>が胚胎しました。楕円の「焦点」という用語もこの時期のものです。ケプラーにとってこの時期が最も安定していたのですが、残念ながらルドルフ二世が逝去された後は俸給を満足に払われることが無くなり、オーストリアリンツで数学教師の職に就きました。しかし主な収入源は占星術師だったみたいです。

そして1619年に神学と科学、現実と空想が交錯した『宇宙の幾何学的構造論的和声学的心理学的天文学的調和』全5巻という大作を著わされます。ここで「ケプラーの第3法則」が述べられております。

ただ数学者にとっては1615年に著わされた『酒樽の幾何』の方が印象的かもしれません。この中で回転体の求積が無限小解析的な問題として取り扱われており、加えて最適問題にも及んでおりました。これはアルキメデス風「厳密性」を蔑ろにしたとしてこの後1世紀以上論争を呼ぶのですが、この時瞬間「微積分学」は始まったのかもしれません。

 

この後ケプラーは宗教による迫害を受け決して幸せと言えない人生を送るのですが、この占星術師の残した数々の発見は数多くの天文学者・数学者を惹きつける事となりました(ケプラー予想とかね)

5. ウィリアム・ローワン・ハミルトン

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 ウィリアム・ローワン・ハミルトン(William Rowan Hamilton) wikipediaより引用

ハミルトンは上記2人より時代が後の19世紀前半のイギリスの数学者、物理学者で早熟の天才として歴史に名を残しております。このハミルトンの職業は「ダンシンク天文台長兼天文学教授」でした。学部学生時代にこのポジションを推されるというまさに前代未聞な業績を持っていたハミルトンは、当時大学にフェローとして残りながら数学教授の道を模索していましたが、それに伴う授業負担と人間関係のしがらみを天秤にかけた結果、天文台長への就任を決意したそうです(家族と住めるスペースがあったのも選んだ理由だそうです)。ただご当人、観測は助手任せ、データ整理は姉妹任せと本務を丸投げにして数学研究に没頭したそうですからまったくもって羨ましいポジションですね。

光学への数学の応用「光線系の理論」、それの力学系へ拡張したハミルトニアン、数学理論による自然現象の予言(双軸結晶の屈折光線に関する減少の予言)、ヤコビとのハミルトン=ヤコビ方程式による解析力学の創始など前半生の業績は非常に華々しく、当時「ニュートンの再来」と呼ばれる程評判が高かったそうです。

ちなみに中背でしたが体操と水泳で鍛えた体と、聡明な印象を与える青い目、陽気な笑いとウィットな感覚を持った彼は社交界でも引っ張りだこだったそうです。現代で表現するならパリピリア充ですね。

            Carl Jacobi.jpg

 カール・グスタフ・ヤコプ・ヤコビ(Carl Gustav Jacob Jacobi) wikipediaより引用

ハミルトンは解析力学の理論構築は専らヤコビにお任せして、当人はある意味ライフワークとなる四元数の研究に没頭していきました。

ニュートン的時空を支配する表象獲得することを夢見て十年程を経た1843年10月16日、愛妻と散歩中ブルーム橋にさしかかった所でついに四元数の概念に到達しました。やっと訪れたその啓示を橋の石に刻み込んだそうです。四則演算を保存しない四元数は極めて斬新なアイデアで、その後の代数学全体に多大な影響を残した。

      

          ブルーム橋と四元数の概念に関する碑文

※文章は↓

Here as he walked by
on the 16th of October 1843
Sir William Rowan Hamilton
in a flash of genius discovered
the fundamental formula for
quaternion multiplication
i² = j² = k² = ijk = −1
& cut it on a stone of this bridge.

この偉大な発見をきっかけとして<行列代数>、<グラスマン代数>といった代数系が発見されました。また四元数の発見を「デカルトの座標幾何に匹敵する」と謳ったマクスウェルは電磁場理論に応用し、その論文を検討したギブスは四元数の積の観察からベクトル解析を編み出し、物理学に大きく貢献しました。

お気づきの方もいらっしゃると思いますが上記の素晴らしい業績は19世紀後半以降です。発見当初は期待したほどの反響を呼ぶことはありませんでした。彼自身物理への画期的応用を目指しましたが成功しませんでした(当時では検討する材料と人が足りなかった可能性あり)。実用化を検討した20年の大著『四元数講義』は700ページを超えて難解と評され、数学者ド・モルガンや天文学者ハーシェルらによって「要約を書いてほしい」という要望に応えた『四元数の基礎』は800ページに達し、生前に出版される事はありませんでした。誰にも理解されず討議する相手もいなかったので、すべてを自ら発見し証明しなければならなかったのは大変つらいものだったと思われます。

晩年のハミルトンは、アルコール中毒に溺れながら独り数学研究に没頭し、痛風に苦しんだ末に1865年にダブリンの自宅で息を引き取りました。ハミルトンの部屋には食べかけの肉片がこびりついた羊の骨と、酒と肉汁にまみれた二百数十冊のノートで埋め尽くされており、このノートにはには正しい物、誤った物、判断のつかない物が入り混じった数式で埋め尽くされておりました。

 

これ程までに人生の前半と後半で大きく変わる人物は印象的で、ただ一人の理解者・支援者がいればまた変わっていたのかもと思ってしまいます。

6. 最後に

今回は個人的に印象に残る日曜数学者の人生を紹介させていただきました。誰もが激しい人生で”日曜”から受けるイメージとはかけ離れている感は否めませんが(汗)、誰もが強い情熱をもって数学に取り組んでおり、自身のライフワーク(趣味)であるがゆえに妥協しないという姿勢が感じられます。この姿勢を習い私自身学ぶことを続けていきたいと考えております。このような長文にお付き合い、誠にありがとうございました。

 

参考資料

藤原正彦天才の栄光と挫折―数学者列伝』

     『心は孤独な数学者』

森毅   『異説 数学者列伝』

伝道師になろうについておもふこと

自分の「好き」を語るトークイベント『伝道師になろう』新装版第1回を、2018年3月10日土曜日に開催させていただきました。

 

イベントの様子はMacMahonさんのまとめを観てください。(MacMahonさん、ありがとうございます!)。

togetter.com

 

今回は狐さんから引き継いでからの第1回という事で、かなり気合を入れて取り組んだのですが、盛大に空回りしました(;´Д`)

会場設営の時から一人であたふたして、結果開始時間を主催者自ら30分遅らすという体たらく。ホント申し訳ないです。

そんな状況にもかかわらず皆さん優しく接していただけて本当に嬉しかったです。次回はこれに甘えることなく改善していきたいと思っております。

 

で、そんな風に盛大に空回りしたので、私なりの『伝道師になろう』に対する思いってのは、話していないんですよね(-ω-;) これが今回一番の粗相。

次回は忘れないためにもここに書きます。

 

元々の『伝道師になろう』は狐さんが立ち上げたもので、詳細は以下をご参照。

wreck1214.hatenablog.com

 

その本家が2017年12月開催の8回目で、幕を閉める事となったのを掻っ攫って始めたのが今回です。主催者が変わっているので今までのものと違ってくるんだろうなあ、と思っています。だからこそちゃんとコンセプトはしっかりしないとね!

 

私は『伝道師になろう』を通じて、

・世の中は思っている以上に広くて深いって事を知ってもらいたい。

・貴方が好きだと思っていることはとても素晴らしい事を感じてもらいたい。

・面白い人たちと交流の輪を広げて欲しい。

と考えています。

 

普通に生活していたら気付かない世界に触れる機会って、本当に重要だと思っています。

研究員の端くれとして働いているのですが、普通って”すごく世界が狭い”んです。最近は性能が頭打ちで、新しい発想を取り入れた製品が求められるんですが、自分の世界が狭いとどこかで見た事あるような?って製品になってしまう事が多いんです。でも世の中を見渡すと素敵な価値観を持った新製品が出ていたりします。

普段の生活でも学業や進路で選択肢が無いと感じる事がありますが、周りを見渡すと意外と道があったりします。なかなか気づくのは難しいですが。

そんな感じで自分の知らない世界が世の中にあって、思っている以上に色々選べるし、色々楽しめるんだと思います。

人生楽しんだもの勝ちですよね。そうある為には楽しい事を知る必要があって、知る最初の一歩はまだ知らない世界があるって事を認識する事だと思います。伝道師になろうは、そのまだ知らない世界がある事を認識するきっかけになると考えています。

 

また、好きと感じる事って凄い事だと考えています。何せ自分の価値観や感性と、その行為や対象が上手く合った結果好きになるわけで、これまでにそんな貴重な出会いがあったという事です。

皆さん好きなものって誰かと共有したい・話したいって気持ちがあるのではないでしょうか。ただ好きなものって自身の繊細な部分と重なっていたりするので、「引かれたらどうしよう」って怖さもあると思います。

個人的には好きな事は許容されると考えています(流石に他人を傷つけたりするのはNGですが)。世の中は思っている以上に広くて受け入れる余裕があるのが、そう考える理由です。なにより自由に語り合えた方が断然面白いですし。

伝道師になろうが好きな事について出すのを躊躇っている人の助けになればと考えています。

 

そして色んな人と交流出来る場になればと願っております。発表自体は様々な好きな事について覗き見する場です。聴講者は気に入ったものについて体験して欲しい。発表者は共感してくれた人と交流して同志を見つけて欲しい、と願っております。私個人は好きな事はもっと深めたい達なので、伝道師になろうで最初の一歩を踏み出した人は続けて二歩目三歩目と進められたら、とても素敵だと思います。

 

このようなコンセプトで今後も続けていきたいと考えております。またこれに従った企画も計画しております。直近で行いたいのは、

・動画配信

・ライブ感重視の発表セクション

の2点です。

 

動画配信は、海外勢にも好きな事を語るイベントに共感する人がいるのではないか?、という考えからのもので、いつかは海外の人とも交流出来たら良いなあとか夢を見ています。ネットリテラシーの問題もあるので少しずつ少しずつ実験的に。

 

ライブ感重視の発表は、好きな事を発表するハードルを下げたり出来ないか?、という考えからのもので、ビブリオバトルのルールにもある

”レジュメやプレゼン資料の配布等はせず,できるだけライブ感をもって発表する”

を参考にしたものです。

今回発表者が少ないこともあって、飛び込みの発表者を募っての発表会が行われたのですが、これが面白いんです。予め用意しない分好きなものへの思いが語る言葉に乗っていて、これがライブ感か!と感動しました。

好きなものを「伝道」する上で伝え方は重要であると考えています。知らない人にも分かるように発表を工夫する事で、「それって面白いよね!」という感じてもらえると思います。

ただ今回の発表を見て、”もっと自由に出来るのでないか”という思いも出てきました。本家のビブリオバトルのように完全に身一つではキツイでしょうが、パソコン(ネット接続)やホワイトボードといったちょっとした小物を用意すればいけるのでないかと感じました。(身一つの発表は関西数学友の会でやってみたいなあ)

 

以上、乱文失礼しました。非常に危なっかしい主催者ですが続けていきますので、気になった方はぜひ参加してください!

今後ともよろしくお願い致します!

 

 

 

 

 

 

 

 

関西日曜数学 友の会 第0回目

関西で「日曜数学会」を開催しよう!って事で始まりました「関西日曜数学 友の会」

そのキックオフとなります第0回目が2018年1月27日(土)に行われました。

 

今回はその様子を紹介させていただきます。

 

1.きっかけ

始めたきっかけは昨年10月に行われた第10回日曜数学会でした。

第10回日曜数学会

その日知り合ったメンバー4人が、関西と縁が深いこともあり、意気投合して

「関西にはこういう(優しい数学の)勉強会がない」

「やったら需要有りそう」

「とにかくやってみよう!」

と、三次会のお酒の力もあったのかトントン拍子で開催が決定。

 

なんだかんだで、そこから3か月後に開催することになりました。

 

2.コンセプト

実際開催にするにあたり、どういうコンセプトで行おうか相談した結果、

”あなたの5分、頂けないでしょうか。” ー隣の畑を覗き見しようー

というキャッチフレーズの元、進める事を決めました。

ロゴのクラインの壷は、学問の境界を持たない事を表しています。

kansai-sunday-math.connpass.com

 

ロゴのデザインは数学デッサンをされている、ずけやまさんにお願いしました。

ずけやま #数学デッサン (@ru_sack) | Twitter  ありがとうございます!

 

”5分”は発表時間。”隣の畑”は自分の専門ではない分野です。

関西のメンバーは、非数学専門家(化学、物理、仕事では数学使わない・・)ばっかり。

加えて、いわゆるガチな数学勉強会は関西でも行われていました。

 

数学は、主催者メンバーにとってもお隣感があり、専門でされている方より

実用に重きを置きがち・・・。そんな人達でも数学を楽しんでOK!である事を伝えたい。

 

そんな思いの元、数学を好きになる/学びたくなるきっかけになる会を計画しました。

「数学が好きだけど、どうやって勉強するんだろう?」

「興味があるんだけど、一人はちょっと・・・」

みたいな思いのある方にこそ、参加してもらいたいと考えております。

 

ゆったりとした気持ちで聴けるテーマを中心に、たまに刺激的な真剣度の高い数学を。

そんな感じで進めたいと思っています。

 

前置きが長くなりましたが、ここからは第0回目の様子を紹介します。

 

3.レポート:第0回目

場所は国道ビル3階@大阪市北区曽根崎

関西に似合わずお洒落な感じでした。

 会場                  会場ビル

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名札とかお菓子を用意して開始です。

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今回は、招待講演が2名。

「大野関係式」 (せきゅーんさん)

「双曲幾何20連発」 (リングさん)

事前にLTを申し込まれた方は5名。

「論理式を使ったドラッグデリバリーシステム」 (パヤシさん)

「マチンの公式と素因数分解」 (pc16960さん)

「帽子パズルを無限人でやってみた」 (souji04261さん)

「複素指数関数は高校数学で導出できるか?」 (Cello_221Hertzさん)

電磁気学から複素数へ」 (Kumaさん)

飛び入りLTを受け付けたところ、3名が発表してくださいました。

「Euler数の合同式」 (せきゅーんさん)

力学系ゼータ関数」 (トムさん)

絶対数学 たけのこ赤軍オンステージ」 (たけのこ赤軍さん)

本当にありがとうございました!

 

一番手のせきゅーんさんは、大野関係式を紹介。

1997年に学位論文で出された大野関係式は、式そのものが美しいだけでなく、ページ数が15ページと、そのスマートさも驚異的なものでした。※100ページがザラの業界。

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対称的な数式が好きとおっしゃるせきゅーんさんは、

大野関係式に至る背景も含めて20分以上と、とても熱く語ってくださいました。

自身の学位論文まで紹介され、本当に数学愛が溢れていると感じました。

 

二番手のリングさんは、双曲幾何20連発という題名で講演。

数学史を辿る様に、シンプルな所から複雑で深い部分へと進んで行く様は、

とても素敵でした。

そんな中で皆さんの注目をかっさらったパ〇ツ分解。

本当に素晴らしい・・・!応用例の1つ目がこれという事で参加者も印象深いのでは。

           f:id:Payashi:20180210095604j:plain

 

お二人とも非常に熱い講演をしていただき、主催者としても参加者としても、

本当に嬉しかったです。

 

ここからはLTの5分講演で、

1人目は私パヤシが紹介する、数学を応用したドラッグデリバリーシステムでした。

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最近Nature Chemistryに投稿された論文に関してで、

化学と数学の関係について、結晶構造と対称性は有名だけど他にもあるんだ!

という事を紹介したく、発表させていただきました。

 

化学の世界でも、理論先行の研究が増えてきており、その中で数学は大いに活躍

しております。そんな所を今後も紹介できればなあと思います。

 

LT2人目はpc16960さんの、「マチンの公式と素因数分解

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明るいタイトルと、効果音(自分の声)と勢いのある発表で、とっても楽しかったです。

私は、1/5や1/239を含んだ式を筆算できるか自信ありません(汗)。

 

LT3人目はsouji04261さんの、「帽子パズルを無限人でやってみた」

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とっても発表スタイルがカッコよくて引き込まれました。

帽子パズルは触れた事があるのですが、無限人のものは初耳で驚きました。

しかも色々制限を付けても成功するとか、いやあ・・・スゴイ!

しかし、”無限人の囚人(無限の人を見通し、無限の色を見分けられる)”

凄い字面ですよね(汗)。

 

LT4人目はCello_221Hertzさんの、「複素指数関数は高校数学で導出できるか?」

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誠実な発表資料で、5分のLTでこんな丁寧なものと内心恐縮しておりました!

限られた定理を駆使して導出するのは、中学や高校の数学で面白さを伝える上で

重要ですよね。

さらに、質問タイムで出てきたリングさんの鮮やかな別証明!

こういう感じでお話しできる時間が本当に大好きで、個人的に”やって良かった!”

と一番感じた瞬間でした。

 

LT5人目はKumaさんの、「電磁気学から複素数へ」

 

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静電磁場が正則な複素数と対応することを示す発表で、

物理から数学へのアプローチでした。数学って本当に便利ですよね!

Maxwell方程式と、非数学勢の私も知っているテーマなんでほっと一安心(汗)。

ただ、この後数学勢が指摘された次元数を増やすといった一般化を進めるという

お話がでてきて、奥が深いと痛感しました(汗)。

 

ここで休憩をはさみつつ事前申込者のLT発表は終了。

ここから飛び入り参加者による発表です。

 

飛び入り1人目は、熱い講演をしてくださったせきゅーんさんの「Euler数の合同式

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大学院でのTA経験から始まった発表はとってもユーモアたっぷりで楽しかった!

こんな発表を短時間で作るなんてスゴイ!どれだけ引き出しがあるんだろう・・・。

 

飛び入り2人目は、トムさんの「力学系ゼータ関数

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力強い口調で発表、とても素敵でした!直前に資料をダウンロードしての発表と

本当に思い立って発表してくださったと感じられて嬉しかったです。

ゼータ関数味がある関数”というワードも面白かった。

加えて質問タイムで、せきゅーんさんが鮮やかに説明!

カッコイイ。

 

最後にトリを務めたのは、たけのこ赤軍さん。

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ホワイトボードのみを使った堂の入った発表スタイルはとても中学生とは思えません。

・・・本当に中学生?

そうか~中学三年生で習う二次関数はモジュラー形式なのか~(汗)

 

残った時間は、皆さん議論したり、素数大富豪したり、おしゃべりしたりと

遠くから眺めながら良いよね~って思ってました。

展示スペースではほりたみゅさんが自作の多面体を紹介されており、

結晶好きの私にはたまらない一品で、本当にありがとうございます!

ほりたみゅ (@Hyrodium) | Twitter

 

4.最後に

今回のキックオフは、大きなトラブルなく進められて、本当に良かったです。

参加者の皆さんがとても優しく、いろんな場面で助けていただき、

「皆様のような参加者あっての日曜数学」だなあとつくづく実感しました。

※集合写真ありがとうございました!

 

次回は4月21日(土)に同じ会場で開催予定です。

今回得られた経験を元にもっと楽しい会にしていきます。

今回の記事で気になった方、ぜひご参加ください!

 

皆様のご参加お待ちしております!!

 

日曜数学アドベントカレンダー11日目:芸術/自然と数学 ~エッシャーと準結晶~ 

日曜数学アドベントカレンダーのリンクから来られた方々、 

はじめましてパヤシと申します。

adventar.org


adventar.org

先日10日目は二本松せきゅーん様の「孙智伟による素数表現関数」でした。

integers.hatenablog.com

今回私は、『芸術/自然と数学』というタイトルで記事を投稿させていただきます。

 

1. はじめに

数学界隈には「数学の美」について感性をお持ちの方が、たくさんいらっしゃいます。

”数学そのもの”に美を見出し数式、解法、数字そのものに美しさを感じるそうです。

 

素数でご飯何杯もイケる方もいらっしゃいますね。

 

ここら辺数学畑ではない化学畑の私からはトンと分からないものでして、

そういった悟りの境地に達することができません。

 

そんな私でも「数学的な美」については紹介できるんじゃないかなと、

なけなしのセンスをかき集めて芸術や自然に存在する数学を紹介したいと思います。

 

2. 繰り返し文様について

芸術や自然でキレイと感じる中には、幾何学が関係する事柄を多く含みます。

その中でも今回は化学にも関係する「繰り返し文様」について紹介します。

 

繰り返し文様で有名なもので、アラベスクがあります。

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(グラナダ アルハンブラ宮殿より)

 

あとはエッシャー の寄木風の作品。

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(Horseman エッシャー作)

 

元々エッシャーグラナダアルハンブラ宮殿アラベスクに大いに感動し、

 触発される形で繰り返し文様風の作品を作り始めたそうです。

 

エッシャーはもともと建築家で芸術家としてはやや孤立していました。

そんな中協力してくれたのが

・カナダの数学者コクセター

・イギリスの数学者で理論物理学者でもあるペンローズ 

・兄で結晶学者のB.G.エッシャーをはじめとした結晶物理・結晶化学の先生方。

と科学者の方々でした。

 

そんな経緯があったので、

・結晶学の国際会議で展覧会を開催。

・オランダの結晶学者マクギラフリーがエッシャー作品について結晶解析した

シンメトリーの世界』を出版。

と、エッシャーは結晶化学者と良好な関係を築き上げました。

 

上のエピソードからもエッシャーの繰り返し文様は、

結晶化学者にとって魅力的な作品であった事がよく分かります。

 

しかしどうして結晶を取り扱う人(通称結晶屋)たちにエッシャーの繰り返し文様は

こんなに魅力的に映ったのでしょうか?

 

 3. 結晶屋と繰り返し文様の関係

この繰り返し文様ですが、うまく切り分けると必ず”ある対称の型”に含まれます。

この対称の型を文様群(壁紙群)と呼びます。

 

文様群は2次元の繰り返しパターンに関する群で

・”回転”、”鏡映”、”映進”(並進+鏡映)、”並進”という操作の組み合わせで構成。

・パターンは17種類に大別。

・17種類である事はハンガリーの数学者ポリアが証明。

 

ちなみにアラベスクは映進操作を含むものがなく、

一方日本の伝統文様にはこの17種類がすべて含まれているそうです。 

 

最近テレビで見かけました日本の伝統文様は”しつぽう繋ぎ”

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群としての表記は”p4m”となります。

テレビを見た人の中には気づいた人もいるのではないでしょうか。

そんな見かたする奴はいねーよ。

 

この文様の詳細は幾何学模様について研究されている

盛田みずすまし様の記事をご覧ください。*1

j344.exblog.jp

 

実はこの対称操作による群が”結晶屋”の琴線に触れました。

 

結晶屋は対称性が大好物です。

対称性でご飯何杯もイケる変態人種です。

その結晶屋が結晶について語るのに使う群を”空間群”と呼びます。

 

空間群は結晶構造の対称性を表現する際に用いる群で

・”恒等”、”回転”、”鏡映”、”反転”、”回映”、”回反”、”並進”という操作で構成。

・パターンは230種類。

・結晶化学・鉱物学を志す者は、一度は空間群に関する教科書の厚さで絶望。

 

数学界隈の方々ならば”点群”の方が通りが良いでしょうか?

空間群は点群から派生したものです。

 

集合としてみますと、”空間群⊃文様群”となりますでしょうか?

 

つまり結晶屋にとってエッシャーの繰り返し文様は、

”大好きな結晶構造を芸術にまで押し上げた逸品”という事になります。

 

これが結晶屋がエッシャーに惹かれて止まない理由と考えております。

 

 4. 繰り返し文様からの発展 ~準結晶

そもそも結晶というのは、

原子・分子・イオンが、繰り返し文様のように隙間なく並んだ状態です。

例えば食塩結晶の場合、NaとClのイオンが規則正しく並んでおります。

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結晶構造を身近なもので例えるならば、寄せ木細工がそうです。

寄せ木細工なんて身近なものじゃねーぞというツッコミはスルーです。

Related image

(六角麻の葉 寄せ木細工でも伝統的な模様)

寄せ木(分子)を集めて、繰り返し文様(結晶構造)を作るわけです。

 

面白い事ですが

「繰り返し文様は、必ず寄せ木に分解できる」 は真なのですが、

「寄せ木は必ず、繰り返し文様を作る」    は必ずしも真ではありません。*2

 

小さな繰り返し構造をもっていない一例

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(伏見康治が「乱れ(文様の科学XXV)」『数学セミナー1969年6月号』で発表)

 

ただ2種類の寄せ木を用いた場合、

「平面上無限に並べても、どこかその並び方が乱れて繰り返し構造にならない文様」

が存在します。

 

1972年にペンローズが考案しました「ペンローズ・タイル」がそれです。

これは5回対称という面白い特徴を持っています。※空間群では2,3,4,6回対称のみ。

考案された当初、数学上のみの存在として考えられておりました。

 

しかし、こんな面白いもの結晶屋が見逃すはずがありません。

 

このような”非周期的な詰まり方をした結晶”がありうるのではないかと考えました。

そして1984年、実際にイスラエルの化学者シェヒトマンが発見したのです。

 

シェヒトマンと発見した固体について

・Al-Mn合金を急速冷却時の結晶構造を研究。

・ある時X線結晶解析にかけたところ10回対称という対称軸を有する固体を発見。

・この固体は「準結晶」と名づけられました。

・この成果によりシェヒトマンは2011年にノーベル化学賞を受賞。

 

10回対称性は当時の結晶学の常識を覆すもので、もちろん空間群には含まれません。

だからこその”準”結晶です。

 

常識を覆すのは大変難しく、シェヒトマンは大御所ポーリングの反対を受けました。

それでもなお屈しなかったシェヒトマンの信念と当時のやり取りは非常に熱く、

このあたりのエピソードは『現代化学』で記事となっております。

興味があればぜひ読んで欲しいです。

 

業界あるあるですが、一度見つけられれば研究スピードは加速されます。

・東北大の蔡安邦らが安定な準結晶合金Al-Cu-Fe(1987年)やAl-Ni-Co(1989年)を作成。

※シェヒトマンの準結晶は不安定で、すぐに安定した結晶に変化。

・後に数学的に存在が証明されていた8回・12回対称性の準結晶も発見。

・合金ではなく高分子の準結晶も2007年名古屋大から報告

 

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Ho-Mg-Zn合金の電子散乱パターン(10回対称あるのがわかります)  ホント良いよね・・・(n*´ω`*n)

 

((;゚Д゚)あ、数学のアドベントカレンダーなのに化学ばっかりだ・・・!)

 ・・・えー準結晶の性質などは興味ある方はQuasicrystal - Wikipediaをご参照ください。 

 

 5. まとめ ~数学スゴイ、世界ひろい~

今回紹介したアラベスクエッシャーの繰り返し文様、また準結晶

これらはいずれも数学の点群に基づいた対称性を有しております。

 

芸術へも自然現象へも繋がる数学の凄さを改めて思い知らされます。

 

実はこのお話には続きがありまして、エッシャーが参考にしたアラベスクですが、

実際には繰り返し文様ではなくひもが絡み合ったような文様となっております。

 

このような絡み合った文様はエッシャー自身はほとんど手掛けることがなく、

最後の作品である『蛇』でのみ、それに近い文様が確認されます。

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(Snakes エッシャー作)

 

本来のアラベスクは、

紐が色々な方向に走り、交差し、全体として対称性を持つ文様です。

広げていくと紐は閉じた構造を取ります。いわゆる閉曲線です。

これは数学では結び目理論へと繋がっていきます。

 

これを取り入れた文様はレオナルド・ダ・ヴィンチデューラーが有名です。

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(レオナルドの結び目文様 (アカデミア・ディ・ヴィンチのエンブレム)  ミラノの版画家 1497~1500年)

 

しかしこれも元ネタがあり、ケルト文様がそれにあたります。

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(ケルト文様の一例) 

 

この結び目文様ですが今回の日曜数学アドベントカレンダー9日目の記事にて、

ずけやま様が素晴らしい作品を上げておりますので是非ご覧ください!

Yoshika Zukeyama - Prime knot 9_12 150mm×150mm 鉛筆 アクリル絵具 ケント紙 交点数9...

 

化学についても今回紹介した”非周期的な詰まり方をした結晶”ですが

非周期性の内容を議論することで、”格子と超格子”へと考えが発展します。

 

本当に芸術と自然現象の懐の深さには頭が下がります。

機会があればこれらも紹介したいですね。

 

ここまでお付き合い、ありがとうございました!

 

しかし数学のアドベントカレンダーなのに数学色が薄すぎたなあ・・・(;゚Д゚)。

 

日曜数学アドベントカレンダー12日目は、

unaoya様の「有限群のFourier変換とGauss和」です。

今度は数学色タップリですよ!

 

今回の記事の作成にあたり参考にした文献

美の幾何学 - 天のたくらみ,人のたくみ』(早川文庫NF)

かたち - 自然が創り出す美しいパターン』(早川文庫NF)

神は数学者か? - 数学の不可思議な歴史』(早川文庫NF)

別冊Newtonムック - 数学の世界』(ニュートンプレス)

*1:実は記事完成直後にネタがもろ被りしている事に気づきました。ゴメンナサイ!先行文献調査マジ大事!

*2:厳密には一種類の寄せ木では下記ののような組み合わせでも広げていくと、同じ形が出てくる非常に大きな繰り返し構造を持っています。

映画ドラえもんのガチっぷり

はてなブログを立ち上げたので練習がてらに記事を1つ

 

12月3日の伝道師になろうで色々ネタを考えてたんですが、

その中でドラえもんネタがありました

 

没ネタの供養がてら紹介します

 

映画ドラえもんって小さい頃見ると結構トラウマになりますよね?

 

宇宙開拓史の惑星を内部から爆破する“コア破壊装置”とか

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(宇宙開拓史は原作の方が悲壮感半端ないけど)

 

海底鬼岩城のポセイドンとバギーちゃんとか

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(青い炎なのが余計キツかった)

 

魔界大冒険の石にされるとか、一度敗走してバラバラになるところとか

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鉄人兵団でリルルがロボットと分かった途端に襲い掛かったり、最後の戦いとか

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新・鉄人兵団は旧作より派手なアクションで最後の戦いは必見

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(ジュド改めピッポも仲良くなったので最後のシーンはムッチャ辛い(´;ω;`))

 

他にも

大魔境:秘密道具無しで爆撃降り注ぐ中に突入

宇宙小戦争:捕まって処刑されかける

パラレル西遊記:周りの人間、家族含めて妖怪化

ドラビアンナイト奴隷商人に売られる

雲の王国:一度洪水で世界が滅びる ドラえもん壊れる

ブリキの迷宮:閉じ込められた迷路の中で追われる またドラえもん壊れる

夢幻三剣士:夢からの現実への浸食 あと一回灰になって死ぬ

 

 

 

・・・トラウマしかないじゃない・・・!

 

 

 

 

そんなわけで色々傷跡を残してくれた映画ドラえもんですが、

幼心にトラウマを残すほど”ガチ”で作ってる作品って大切ですよね!

 

ここら辺、クレヨンしんちゃんとかプリキュアもそういう匂いがあるかと

 

さてガチ度の高い映画ドラえもん、SFとしてみてもかなりのものなんですが、*1

オカルトものとしてもかなりスゴイ

 

秘境の超文明:大魔境、竜の騎士

魔女に魔術魔界大冒険

失われた超古代文明:海底鬼岩城

我々と異なる人類:雲の王国

遮光器土偶宇宙人説:日本誕生*2

 

特に創生日記の南極点にある大洞窟

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:(;゙゚'ω゚'):ナチスの秘密基地?! それとも地球空洞説?!

 

夢が広がります!

 

そして今のところの最新作

『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険

これがまたヤバかった

 

公開当初から”ラヴクラフトの狂気山脈じゃね?”って声がありました

togetter.com

ラヴクラフトの説明

ラヴクラフト神話 - Wikipedia

狂気山脈

狂気山脈 - Wikipedia

 

実際どうだったかと言いますと

 

初っ端ショゴス

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白化したペンギン?! 

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変身能力あるからナイアーラトテップ?!

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ラスボスはイタカ

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ヤベェ!ガチだΣ(・ω・ノ)ノ!

 

 

 

さらにエルダーサインの助け

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ここまで重なってくるならば確定でしょ(;゚Д゚)

ラヴクラフト好きな人ならSAN値減らして楽しめます

 

 

しかし『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』、何がスゴイって

こんなに詰め込んでいるのに、ちゃんと”ドラえもん

 

のび太ドラえもんの友情が熱く描かれていて

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極地研が監修したというむっちゃキレイで厳しい南極

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途中の南極走破のシーンは迫力満点

 

SF要素もガッツリ入ってて

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氷のかけらから時代を特定、発見したポイントの海流を読み、

氷山の流出点、学術的見地から凍った場所の特定

雰囲気から察せられない科学的考証もドラえもんの魅力(n*´ω`*n)

 

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10万年と宇宙の広がりを合わせたラストのシーンはホント感動(´;ω;`)

 

そしてヒロインがカッコイイ!

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見てください、この不敵な笑み

 

ドラえもんファンの中に

今のドラえもんって苦手なんだよね~って人がいます*3

しかしこの南極カチコチ大冒険は旧ドラえもんファンに観てもらいたい作品

小さい頃に観たドラえもんのガチっぷりとトラウマをしっかり味わえます!

 

あと、ポスターもカッコイイ・・・!*4


togetter.com

 

ここまでありがとうございました!

 

 

 

*1:2作目で宇宙開拓史とかシブすぎ!

*2:大仏さんの発表でもありました!とっても面白かったです!

*3:今のドラえもん2005年開始なんですよ。つまり12年前と干支を一周している。つまり旧ドラえもんファンというのは・・・:y=-( ゚д゚)・∵;; ターン

*4:あまりにポスターが欲しくて配給会社にお願いして玉砕