関西日曜数学 友の会 第0回目
関西で「日曜数学会」を開催しよう!って事で始まりました「関西日曜数学 友の会」
そのキックオフとなります第0回目が2018年1月27日(土)に行われました。
今回はその様子を紹介させていただきます。
1.きっかけ
始めたきっかけは昨年10月に行われた第10回日曜数学会でした。
その日知り合ったメンバー4人が、関西と縁が深いこともあり、意気投合して
「関西にはこういう(優しい数学の)勉強会がない」
「やったら需要有りそう」
「とにかくやってみよう!」
と、三次会のお酒の力もあったのかトントン拍子で開催が決定。
なんだかんだで、そこから3か月後に開催することになりました。
2.コンセプト
実際開催にするにあたり、どういうコンセプトで行おうか相談した結果、
”あなたの5分、頂けないでしょうか。” ー隣の畑を覗き見しようー
というキャッチフレーズの元、進める事を決めました。
ロゴのクラインの壷は、学問の境界を持たない事を表しています。
kansai-sunday-math.connpass.com
ロゴのデザインは数学デッサンをされている、ずけやまさんにお願いしました。
ずけやま #数学デッサン (@ru_sack) | Twitter ありがとうございます!
”5分”は発表時間。”隣の畑”は自分の専門ではない分野です。
関西のメンバーは、非数学専門家(化学、物理、仕事では数学使わない・・)ばっかり。
加えて、いわゆるガチな数学勉強会は関西でも行われていました。
数学は、主催者メンバーにとってもお隣感があり、専門でされている方より
実用に重きを置きがち・・・。そんな人達でも数学を楽しんでOK!である事を伝えたい。
そんな思いの元、数学を好きになる/学びたくなるきっかけになる会を計画しました。
「数学が好きだけど、どうやって勉強するんだろう?」
「興味があるんだけど、一人はちょっと・・・」
みたいな思いのある方にこそ、参加してもらいたいと考えております。
ゆったりとした気持ちで聴けるテーマを中心に、たまに刺激的な真剣度の高い数学を。
そんな感じで進めたいと思っています。
前置きが長くなりましたが、ここからは第0回目の様子を紹介します。
3.レポート:第0回目
場所は国道ビル3階@大阪市北区曽根崎
関西に似合わずお洒落な感じでした。
会場 会場ビル
名札とかお菓子を用意して開始です。
今回は、招待講演が2名。
「大野関係式」 (せきゅーんさん)
「双曲幾何20連発」 (リングさん)
事前にLTを申し込まれた方は5名。
「論理式を使ったドラッグデリバリーシステム」 (パヤシさん)
「マチンの公式と素因数分解」 (pc16960さん)
「帽子パズルを無限人でやってみた」 (souji04261さん)
「複素指数関数は高校数学で導出できるか?」 (Cello_221Hertzさん)
飛び入りLTを受け付けたところ、3名が発表してくださいました。
「Euler数の合同式」 (せきゅーんさん)
「絶対数学 たけのこ赤軍オンステージ」 (たけのこ赤軍さん)
本当にありがとうございました!
一番手のせきゅーんさんは、大野関係式を紹介。
1997年に学位論文で出された大野関係式は、式そのものが美しいだけでなく、ページ数が15ページと、そのスマートさも驚異的なものでした。※100ページがザラの業界。
対称的な数式が好きとおっしゃるせきゅーんさんは、
大野関係式に至る背景も含めて20分以上と、とても熱く語ってくださいました。
自身の学位論文まで紹介され、本当に数学愛が溢れていると感じました。
二番手のリングさんは、双曲幾何20連発という題名で講演。
数学史を辿る様に、シンプルな所から複雑で深い部分へと進んで行く様は、
とても素敵でした。
そんな中で皆さんの注目をかっさらったパ〇ツ分解。
本当に素晴らしい・・・!応用例の1つ目がこれという事で参加者も印象深いのでは。
お二人とも非常に熱い講演をしていただき、主催者としても参加者としても、
本当に嬉しかったです。
ここからはLTの5分講演で、
1人目は私パヤシが紹介する、数学を応用したドラッグデリバリーシステムでした。
最近Nature Chemistryに投稿された論文に関してで、
化学と数学の関係について、結晶構造と対称性は有名だけど他にもあるんだ!
という事を紹介したく、発表させていただきました。
化学の世界でも、理論先行の研究が増えてきており、その中で数学は大いに活躍
しております。そんな所を今後も紹介できればなあと思います。
LT2人目はpc16960さんの、「マチンの公式と素因数分解」
明るいタイトルと、効果音(自分の声)と勢いのある発表で、とっても楽しかったです。
私は、1/5や1/239を含んだ式を筆算できるか自信ありません(汗)。
LT3人目はsouji04261さんの、「帽子パズルを無限人でやってみた」
とっても発表スタイルがカッコよくて引き込まれました。
帽子パズルは触れた事があるのですが、無限人のものは初耳で驚きました。
しかも色々制限を付けても成功するとか、いやあ・・・スゴイ!
しかし、”無限人の囚人(無限の人を見通し、無限の色を見分けられる)”
凄い字面ですよね(汗)。
LT4人目はCello_221Hertzさんの、「複素指数関数は高校数学で導出できるか?」
誠実な発表資料で、5分のLTでこんな丁寧なものと内心恐縮しておりました!
限られた定理を駆使して導出するのは、中学や高校の数学で面白さを伝える上で
重要ですよね。
さらに、質問タイムで出てきたリングさんの鮮やかな別証明!
こういう感じでお話しできる時間が本当に大好きで、個人的に”やって良かった!”
と一番感じた瞬間でした。
静電磁場が正則な複素数と対応することを示す発表で、
物理から数学へのアプローチでした。数学って本当に便利ですよね!
Maxwell方程式と、非数学勢の私も知っているテーマなんでほっと一安心(汗)。
ただ、この後数学勢が指摘された次元数を増やすといった一般化を進めるという
お話がでてきて、奥が深いと痛感しました(汗)。
ここで休憩をはさみつつ事前申込者のLT発表は終了。
ここから飛び入り参加者による発表です。
飛び入り1人目は、熱い講演をしてくださったせきゅーんさんの「Euler数の合同式」
大学院でのTA経験から始まった発表はとってもユーモアたっぷりで楽しかった!
こんな発表を短時間で作るなんてスゴイ!どれだけ引き出しがあるんだろう・・・。
力強い口調で発表、とても素敵でした!直前に資料をダウンロードしての発表と
本当に思い立って発表してくださったと感じられて嬉しかったです。
”ゼータ関数味がある関数”というワードも面白かった。
加えて質問タイムで、せきゅーんさんが鮮やかに説明!
カッコイイ。
最後にトリを務めたのは、たけのこ赤軍さん。
ホワイトボードのみを使った堂の入った発表スタイルはとても中学生とは思えません。
・・・本当に中学生?
そうか~中学三年生で習う二次関数はモジュラー形式なのか~(汗)
残った時間は、皆さん議論したり、素数大富豪したり、おしゃべりしたりと
遠くから眺めながら良いよね~って思ってました。
展示スペースではほりたみゅさんが自作の多面体を紹介されており、
結晶好きの私にはたまらない一品で、本当にありがとうございます!
4.最後に
今回のキックオフは、大きなトラブルなく進められて、本当に良かったです。
参加者の皆さんがとても優しく、いろんな場面で助けていただき、
「皆様のような参加者あっての日曜数学」だなあとつくづく実感しました。
※集合写真ありがとうございました!
次回は4月21日(土)に同じ会場で開催予定です。
次回、第1回 関西日曜数学友の会は、4/21(土)に、前回と同じ会場(梅田のお初天神の南)となりました。詳細と募集につきましては、追って告知致します。
— 関西日曜数学 友の会 (@kansai_nitimath) 2018年2月4日
前回に続き、招待講演を行って頂ける方を探して、アプローチしたいと思っております。
皆さま、お誘い合わせの上、奮ってご参加下さい。 https://t.co/m8tG6roaEK
今回得られた経験を元にもっと楽しい会にしていきます。
今回の記事で気になった方、ぜひご参加ください!
皆様のご参加お待ちしております!!